今日隆盛を極めるデジカメ市場。その端緒を開いたのがカシオQV-10であることは隠れもない事実だ。しかし、そのQV魂ともいうべきモノ作りの精神は、知られざる傑作QV-7000、そして孤高の名機QV-8000以来急速に衰え、今や消滅寸前である。画素数至上主義であった当時の市場に「遅すぎた」登場をしたQV-8000の悲劇は、画素数競争で常に先端を走り、かつ低価格という呪縛にとらわれたメインストリーム機(QV-3000,3500,4000)と、ギミックとしての楽しさのみに矮小化した回転レンズ機(QV-2300/2400,2800/2900)へとQVシリーズを引き裂いてしまったと言える。

しかし今、市場は成熟し、画素数競争は一つの踊り場を迎えた。そしてユーザーは心から求めているのだ。撮るための工夫すべてが楽しく、その楽しみの過程と結果とをあまさず記録してくれるカメラを。銀塩カメラの模倣ではなく、デジカメならではの写真を生み出してくれるカメラを!

それこそが、7000/8000というQVのコンセプト的進化の頂点で目指した世界そのものではなかったか。

その世界を知るユーザーたちよ、共に立たん! カシオに愛の慟哭を! 引き裂かれたQV魂を今一度我々の眼前に一つにせんことを求めて!

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